ゆふいんで見つけた青

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ゆふいん観光の最中、湯の坪街道を歩いているとき、とあるお店の前で足が止まった。

白枠のガラス戸の向こうに、青い陶器が見える。

扉の前に立ち、しばらく中を眺める。

店内には誰も居ないが入っていいものなのかどうか。なんとなく入るには勇気がいった。

中へ入ると、青を基調とした陶器がひとつひとつ距離をおいて並べられている。

花瓶やマグカップなどの陶器。

何も分からずに入ったが、食器店や土産物店とは違うというのは雰囲気からなんとなく感じた。

その中で、空がふけていくような青、空が明けていくような青、2種類の湯呑みのようなカップが心をとらえる。

夜が更けていくのでも、夜が明けていくのでもなく、空が移り変わる様子をその陶器から感じた。

その2つのカップを眺めてお財布と相談する。

これから高級ランチの由布まぶしを食べるところなのに、私は今4000円の食器を手に入れたいと思っている。

2つの青いカップ、どちらかに決めることが出来なかったので、置いてあったショップカードを手に取り店を出る。

由布まぶしが運ばれてくるまでの間、ショップカードから検索をかける。

あの場所はLINGONというクッキーとギャラリーのお店で、そのギャラリーで【Wacako Ceramics】という陶器ブランドの展示中であった様だ。

そして、空がふけていくようなシリーズは「向こうに見えるブルー」という名がつき、空があけていくようなシリーズは「朝日の静かな光」という名がついていた。

本来なら青のみの「向こうに見えるブルー」を選びたいところだが、「朝日の静かな光」の光に心を惹かれる。

ゆふいん旅の思い出に、青を持って帰ろう。

そして、ずっと大切にしよう。

そう決めて由布まぶしを食べたあと再びギャラリーへ戻った。

店は既に閉店となっていた。

別府市に店舗があるそうなので、いつか訪れる事があればその時は青を持って帰りたい。

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